08 空手の「突き」と「蹴り」(解説)
08 Punch and Kick of KARATE

 俊敏さを競い合う、空手の「突き」とは、直(ちょく)突き(ストレー
ト)を意味し、「蹴り」とは、直(ちょく)蹴り(前蹴り、つま先蹴り)を
言う。
 又、半身に構えて、前側の手や前足を使えば、順突き、順蹴りと言
う。後側の手や足を繰り出せば、逆突き、逆蹴りと言う。
 更に、下段とは、相手の脛(すね)を狙い、中段は、水月(みぞおち)
を、上段は、陣中(鼻と口の間)を狙う。

 以下では、突きについては、割愛し、昨今のテレビ放送で、「立ち
技格闘技」の花形になっている、蹴り技について、解説する。

【回し蹴り】について (About Round Kick)

 回し蹴りは、キック・ボクシングや、K1で多用されている。
 又、顔面ノーガードの体力勝負に陥っている、極真空手でも多用さ
れる。
 体の左右の回転力を利用し、足を、左、又は、右から振って足首の
甲で蹴る。少し練習すれば、誰にでも出来る、簡単な蹴りだ。
 但し、ポイントが、一つ有る。蹴りが当たる直前に、足の指を握る
事である。(下の写真2枚を、参照)
 足の指を握り、甲をしっかり延ばして蹴る事により、蹴りに、切れが
出て、威力が増す!又、突き指も防げる。
 K1の3度王者ピーター・アーツのハイ・キックが、時折、スローで
放映されるが、指を握っておらず、開いて伸びたままだ。
 パンチなら、オープン・ブローで、威力は半減する。それでも相手が
倒れるのは、既に、相手がグロッキー気味だからだろう。
 尚、空手の本来の回し蹴りは、足首の甲を直角に曲げ、次の直蹴りで
説明する様に、つま先で蹴る事になっている。しかし、突き指をして、
実行は、不可能だ。

【直蹴り】(前蹴り、つま先蹴り) (About Straight Kick)

 俊敏さを旨とする空手の蹴りとは、本来、直(ちょく)蹴り(前蹴り)を
言う。
 しかし、その蹴り方は、極めて、難しい!
 体はやや前傾し、膝を胸元まで引き上げ、足の甲を水平に突き出し、
足の指を立て、親指の付け根で、突く様に蹴る。(下の写真2枚を、参
照)
 足の指を立てるのは、蹴った時の突き指を避ける為であり、これが出
来なければ、自身が負傷する。
 しかし、それは、至難の技で、多くの空手家が、突き指に苦しみ、直
蹴りを放棄している。
 だが、筆者は、蹴りこそがボクサーに対抗できる空手の真髄と信じ、
4年間を、この直蹴りの鍛錬に注ぎ込んだ。
 突き指を回避する為には、柔軟運動の伸脚時や開脚時でさえも常に、
足の甲を延ばし、指立てを励行し、何十発、何百発とサンド・バッグを
蹴り込む事である。
 今日では、キック・ボクシングや、K1、極真空手でも、回し蹴り
が多用されているが、より俊敏なる、 「直蹴りこそが、最強!」と、
筆者は、確信する!